投稿日:2015年4月25日
ブログをご覧の皆様、こんにちは。
さて、前回のブログ記事ではローテクによる作業療法をひとつ、お客様に執り行っていただきました。
手軽に楽しく、機能訓練!② 「紙粘土細工:バラ 着色」
(ローテクという言葉はともすれば時代遅れ、遅れた技術と誤解されがちですがそうではなく、非常に地味ながらも技術の根幹を支える柱のようなもの。例えれば、幾重にも枝分かれした花々へ満遍なく栄養をもたらす土壌のごとく、非常に重要な概念です)
出来上がった作品それ自体の完成度の高さもさることながら、製作途中での紆余曲折や苦心惨憺が、お客様方の手先から脳から全体的に刺激することで、非常に有意義な作業療法となりました。
(普段全く使っていない頭を使った、とは紫のバラを作成された方のお言葉です)
そして今回、ローテクの次はハイテクだろう、とまさかそんな単純なことを考えたわけではありませんが、新しい可能性のひとつとしてハイテク機器を導入いたしました。
そんな近未来作業療法の主役がこちら、
そう、タブレット端末です。
タブレットとは何ぞや、という方のために簡単に説明しますと、マウスやキーボードの変わりに指で操作する簡単パソコンです。
それでもさっぱり分からないという方のために、更に砕いての説明を試みますと、画面に映ったピアノの鍵盤に触れると実際に音がしたり、画面内のキャンバスに指先で絵が描けたりする、ビックリテレビです。
実際に今手元のタブレットでピアノの練習をしているA様ですが、最初はスタッフの説明にも終始首をかしげ、全く理解不能といったご様子でした。
そうですよね、画面の中身に干渉できるなんて、口で伝わるものではありません。
とりあえず、鍵盤に触れてみてください。
スタッフの言葉にそろそろと指を伸ばすA様。
♪ ~ ♪
! 音がした!
と実際に体験していただくことで、ご理解いただけました。
身体で覚えるという言葉がありますが、正にアレです。
御年80を数えるA様ですが、長い人生の中で未だ体験したことのない「タブレットでピアノを弾く」経験を、このたび積まれました。
A様曰く「テレビが出たときも最初は何がなんだか意味が分からなかったけど、それに近い感覚。楽しいというより、とにかく新鮮です」
と、その後も長い間、ピアノの練習に励んでおられました。
A様、実はピアノの才能が埋もれていたようでどんどん上達されます。
ばらばらだった音が次第にまとまり、一塊ふた塊、さらにそれらが順繰りに集まって一連の音楽となっていく様は、いままで眠っていた部分の脳回路がうなりを上げて励起しているようでした。
こちらは麻雀をプレイ。
男性のお客様が南国の唄の全自動麻雀卓で久しぶりに卓を囲む際によくおっしゃるのが、
「以前はよく友達同士で集まって、それこそ徹夜で麻雀に勤しんでいたけど、皆年をとって集まることもなくなった、ここに来るまでは、もう麻雀をうつことも出来ないなと諦めの気持ちがあった」
という言葉です。
そう、麻雀は、なんと、4人集まらないと出来ないのです!
これこそ麻雀を嗜む上での最大の障壁といえましょう。卓を囲みながら、何十年ぶりだなぁ・・・と感慨深げに呟くお客様の多いことからも、そのことが伺えます。
そこでタブレットです。
自分以外の3人のメンバーをコンピューターが変わりに打ってくれ、
しかもタブレット特有の直感的操作により、ご高齢者がパソコンなど新しく出てきたものに対して感じる壁も低くなります。
指先を使って特定の牌を選んで捨てて、といった指手の運動や思考分野、言語分野などなど、作業療法、リハビリ効果が期待できる麻雀が、1人でも出来るのは、タブレットならでは。
更にさらに、多くのタブレットでは無線やWiFiでのインターネット接続が標準で備え付けられているため、操作に慣れてきたら、全国の猛者を相手に、いながらにして対戦を楽しむことも可能です。
ということをお伝えしたら昔の血が滾ってきたようで、これから文字通りの麻雀リハビリをする、と全国対戦へ向けた猛特訓を開始されました。
かたやピアノ練習、かたや麻雀特訓。
同じ箱で全く違うリハビリが行える、これがタブレットリハビリの真骨頂と言えるのではないでしょうか。
音楽活動に励むA様。
目指すは麻雀日本一のB様。
その奥では・・・
ノートパソコンを使ったパソコン教室も開催中。
そう、今回のハイテク機器導入に辺り、タブレットと共にノート型パソコンもあわせて導入したのでした。
キーボードに手を載せる姿も様になっているのは、好奇心旺盛なC様。
PCの知識豊富なスタッフにより、マンツーマンでの特訓です。
前々からパソコンには興味があったものの、それなりにお高い品物のうえに全く知識がなく、二の足を踏んでいたとの事で、今回のIT機器導入はC様にとって渡に船だったようです。
その昔、コンピューターおばあちゃん なる歌がありましたが、今回のタブレットリハビリ導入からITの熱い波が到来したことは間違いなく、いまや何人ものコンピューターおばあちゃん、おじいちゃんが日々誕生している南国の唄の光景でした。
さて、このタブレットリハビリですが、先にも記したように、箱は同じでも中身を替えれば多種多様なリハビリを行うことが出来ます。
今回は導入部と言うことで、ピアノや麻雀など、既存の遊戯を用い敷居を下げて実施してみましたが、今後は更なる可能性を探り、コレまでデイサービスで行ってきた作業療法とは異なった、全く新しいものも導入していきたいと思います。
すでに2,3のアイディアがスタッフから出てきていますが、
お客様に何回でも「初体験」していただけるように、頭をひねってアイディアを出していきたいと思います。
それではまた!
・・・時は流れ、お帰りの時間。
みなさーん、そろそろお帰りですよー
A様
うん、ちょっと待ってね。ようやく一曲弾けるようになったから、通して弾いてみますね。聴いてみて?
B様
いま大三元でテンぱったから、これ終わるまで待ってー
・・・皆様、新しい作業療法に余念がないようです。